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今日は仕事も無え。かと言って、祈りに行くほど俺は敬虔な人間じゃ無え。 んじゃ、どうやって時間を潰すか?そりゃあ勿論、酒に決まってるさ。 この前の仕事で十分に金は入った。ダチと騒ぎながら飲むのも悪か無えよな。 ―――おう、ちょっと飲んでくる 「もう、またなのお父さん?今日は早く帰ってきてね」 ―――またとは何だ、またとは。最近は酒は控えてるじゃねえか 「それはそうだけど。今日はお父さんの誕生日でしょ?自分の誕生日くらい覚えてなよ」 ―――ああ、そうだったな 忘れてた訳じゃねえさ。だが、わざわざ祝うほどの事でも無え。そうだろ? そんな事をするくらいなら、パーッと飲むか、レイラの学費の足しにでもするかの方が良い。 まあ、最近は仕事も軌道に乗ってきた。学費の心配はしなくても良いだろうさ。 どれ、久しぶりに飲みに行くか。薄っぺらな扉を開けて外に出た。 が・・・どうもおかしいな。真っ昼間にしちゃあ人気が少ない気がする。 まさか町中、退屈な説教を聞くために教会に閉じこもってるんじゃあ無えだろうに? ん?向こうから走ってくる、骸骨が服を着たような痩せ方の男は・・・ 「おいロブ!てめえどこに居やがった!?」 ―――何だマシュー、ご挨拶だな。俺は今日は休日だぜ?お前と一杯やろうと・・・ 「今はそれどころじゃねえ!お前、銃は持ち歩いてるか!?」 ―――ああ。この通り、ホルスターにお行儀よく収まってるぜ 「なら手伝え!化け物が出やがったんだよ!」 ―――化け物? この街の周りに、人間に害を及ぼすような生き物なんざ殆ど居ねえ筈だ。 せいぜいが野犬か、森に行けば猪がいる程度。街に入り込んでくるなんて考えられねえ。 おまけにこのマシューの慌て用は何だ?肩に担いでるご自慢の猟銃が有れば、熊と戦っても勝てると豪語する男だぜ? こいつは口先だけじゃねえぜ、実際にやってのけたんだ。証人は俺だ、間違いねえ。 ―――とにかく、一度状況を説明しろ。俺には何が何だかさっぱり分からねえ。化け物ってのは・・・ 「分からねえ、誰も姿は見ちゃあいねえ!だが、何人か殺られた!」 ―――殺られた・・・? ≪monochrome≫ マシューの奴がパニクった蟹みてえに泡を吹きながら話したところによると、こういう事だった。 路地裏にいたどこかの誰かさんがまず襲われた。理由は知らねえがな。 悲鳴を聞きつけて駆け付けた男二人が、銃を乱射、ついでに人を呼び集めた。 所がだ、駆けつけてみれば男二人は血の海の底、そいつらを襲った犯人は行方不明と来た訳だ。 ああ、偶然近くにいた通行人からの又聞きだそうだがな。 ―――路地裏だろう?んな狭い所で見失うってか? 「普通ならあり得ねえ。ゴミ箱の中まで探したが出て来やがらねえ」 ―――手品師か何かか?その化け物とやらはよ 「茶化すな、まだ話は続くぜ」 三人の死体全てに共通してることだが、刀傷や銃創、打撲の跡なんかは無えそうだ。 当然爆薬で吹っ飛ばした訳でもなきゃ、毒殺された訳でも無え。じゃあ、どうやって殺されたか? 気分が良くねえ事だが・・・喉が喰いちぎられていた上に、体の一部が『喰われて』いたらしい。 つまり、連中は『喰い殺された』って事だ。がっぷり噛みつかれ、ブツリと引きちぎられて、な。 ―――堪ったもんじゃあ無えな、畜生が 「良いか?この街にゃあ、結構な数の旅人が来る。分かってんだろ? 宿も酒場も食い物屋も、そういう連中の落とす金で成り立ってんだ」 ―――化け物がいる、ってのは困るな 「困るなんてもんじゃ無えだろう!誰も立ち寄らねえ宿場街、こんなもん話にもならねえ 俺もお前も、飯を食わせなきゃねえ奴がいるだろうが」 ―――そうだな 特に名所が有る訳でも無え街だが、立地条件が良かったんだろうな。 毎日かなりの数の旅人がやってきて、宿を求めていく。 人間、飯も食いたくなるし酒を飲みたくもなる、女も抱きたくなるってもんだ。 だから、この街は潤っている。分かるよな、この街は外の人間の財布が頼りって訳だ。 化け物にのさばられてちゃ堪らねえ、ここは俺達のねぐらだからな。 街の腕自慢だのごろつきだの、碌でも無い連中をかき集める。 路地裏に倉庫、潰れた店と、隠れ場所には詳しい連中だ。もちろん、喧嘩の方も専門。 かといって、街中で銃撃戦をやらかすわけにもいかねえってのが困りもんだ。 ―――おいマシュー、この装備でどうしろってんだ? 「仕方が無えだろうが。『お客様方』に、化け物が出たってのを宣伝する訳にもいかねえ 『あの銃撃の音は私どもからのサービスです』とでも言えってのか?」 ―――そりゃあそうだが・・・ 俺は拳銃を持ってるからまだいいとして、他の連中が持っている装備と言ったら・・・ 鎌?鍬?斧?弓矢?何時の時代の戦争だこいつは? ああ、静かで良い事だ。これなら『お客様方』もゆっくりお眠りになられるだろうよ。 ―――正体不明の化け物が相手なんだろう?これで良いのか? 「これだけの人数だ、袋叩きにしてやればどうにでもなるだろうよ おら、行くぞ!俺たちは向こうを探しに行く」 猟銃引っ提げたマシューの後ろに、歯の欠けた間抜け面やら傷だらけの強面やらが付いて行く。 狙われてるのが俺だったら怖えんだがな。 ―――俺達も行くぜ、あいつ等とは逆から、街を虱潰しに漁る 残り半分を俺が連れて、探索を開始した。 そう広い街でもねえ、日が暮れるまでには探索は終わる筈だ。 ああ、間違いねえ。それまでには、俺とあいつのどっちかが化け物とご対面って訳だ 影が随分伸びて来た。結論から言えば、俺の予想は大当たりだった。 路地裏に佇む俺の目の前に有るのは、首が今にも取れそうなマシューの死体。 ご自慢の猟銃を構えたまま、泣きそうな表情を顔に張り付かせてやがる。 俺の後ろに並んでるのは、マシューが連れて行った連中だ。 化け物は?俺は会わなかった。残念な事に?それとも、幸運な事に? 傷を負ったかどうかも分からねえ、路地裏は血の海だからな。 ああ、ついでに駆けつけて来た神父様がゲーゲーやらかしたのも追加しとこうか。 掃除の手間がちょっとばかし増えただけ、だが。 ―――畜生 言いたくもなるだろうよ、こんな状況じゃあな。誰一人残ってないんだぜ?化け物を見た奴が。 あれだけの人数皆殺しにして、自分は見事逃げ遂せてるんだ。 死体の殆どは喉元をやられている。食いちぎったか、切り裂いたか。 大型の肉食動物って所か?恐ろしく凶暴で残忍で、恐ろしく俊敏な、な。 ―――不味いな 後ろの連中、血の気が多い奴らだ。半分はビビリ出してるが・・・ もう半分だ。沸騰して、鍋のふたも弾き飛ばそうって程に熱くなってやがる。 俺の話も聞かねえで走りだす馬鹿もいるな。何をしようってんだ? ・・・ライフル?ショットガン?ああ、いい考えだ。最初からそうすればよかったかもな。 マシューの野郎も、そうしてれば良かったんだ。畜生が。 変わり果てたマシューの手を取る。 と、ここで俺が忘れていた事が有った。何だ?こいつらが死んだ時間さ。 化け物がここにいたのはどれだけ前か?それが分からねえと、ちょいと困る。 さて、何で今、思い出したんだと思う?単純な答えだ。 マシューの手はまだ『温かかった』。 路地裏の出口から上がる悲鳴、振り向けば、崩れ落ちる大男。 でけえ図体に見合う獲物、樵の使うような斧をぶん回し、勢い余って一度回転し。 指から力が抜けて斧を落とすと、がらんがらんと路地裏に音が響く。 喉から噴水のように血を噴き出し、何も無い空間を掴むように手を伸ばし――― ―――逃がすな! 何を?さあな、俺も知らねえよ。そいつはどう見ても一人だったんだからな。 そいつの前に立っていた野郎すら、今振り返ってそいつを睨んでいる所だ。 そいつだった物、と表現した方が近い、とまあこれは余計な話だ。一々適用すりゃあ限が無え。 兎に角・・・・・・兎に角、だ。 周りに誰もいない、何もいない。化け物なんてどこにも居ない。 大男一人を瞬時に絶命させうるだけの力、それだけの大きさは有る筈なんだぜ?それがどこにも居ねえんだ。 歯の根が鳴るなんてのを経験したのは・・・生まれて初めてかもな。 全員の息が鞴のように荒くなり、足は枷を掛けられたかの様に止まる。自然と何人かは背中合わせの体勢になる。 これで不意打ちは怖くない、そう思いたい。思わせてくれよ、十字架とお友達の三十路男よ。 路地裏は静かだ、人が来ないから。いや、俺たちはここにいるんだがな。 誰も口を利きやしない。誰も口を動かせやしない。誰も動こうとしない。誰も動けやしない。 そうだ、何が出来るはずも無い。見えないものには何も出来ねえ。 ガタリ、張り巡らされた聴覚の網に懸かる音。丸まりかけていた背筋が伸び上がる。 音のした方に全員が顔を向ける。何だ?何だ?何なんだ? 張り詰めた空気の中・・・にゃー、とネコの鳴き声がした。 胸を撫でおろす。自分の臆病を嗤いたくなる。猫一匹に何人掛かりで行くところだよ全く? そして、動機を鎮めるために深く息を吐く。一旦落ち着こうと思って顔を空に向けた。 視界が動き、視覚情報が遮られる寸刻。俺の頭は嫌ーな事を見つけてきやがる。 ・・・鳴き声がした。いや、違うんだ。鳴き声「しか」認識できなかった。 日が沈んでいる事に、気が付いた。 ガタリ、二回目の音。今度は、皆慌てることも無え。 ドサリ、重い物が倒れ込む音。ビシャッ、液体が地面に降り注ぐ音。 タッ、地面を蹴る軽い音、ブツリ、肉が千切れる音、悲鳴、怒声、金属が地面に打ちつけられ――― ―――糞っ、糞っ、糞がっ! 反応が遅すぎた。一回目の空振りが、俺達の頭を鈍らせた。 何秒動くのが遅れただろう?それは、化け物には十分すぎる時間だったらしいな。 背筋を這い上がる恐怖を吹き飛ばすために腹から叫び、ホルスターから拳銃を抜く。 目は夜の闇に慣れて来たが、それでも化け物の姿は捉えられねえ。 路地裏には灯り一つ無く、月も出ていない。完全な闇を人の目が見通せる訳が無え。 時折鈍い打撲音が聞こえ、聞きなれた唸り声。馬鹿野郎、同士討ちしてやがるな? ・・・・・・やがて、争う音は静まってくる。消えたか?そう思った。思いたかった。 今回は、何秒、平和な空想に浸れたっけな?多分五秒くらいじゃあねえかと思う。 次の悲鳴も、また俺の背後。最初と180度向きを変えた、俺の背後。 早い話が、「半分」の更にまた「半分」。そこから、悲鳴が上がった。 振り向いて、倒れた奴の方へ銃口を向けると、その隣の奴まで倒れ。先程と全く同じ状況が、もう一つ作られていく。 俺の図太い神経も、もう限界だった、音のする所へ、滅多矢鱈に銃弾をぶっ放した。 弾奏が回る。薬莢を捨て、次の弾丸。当たったのか?外したのか?それも分からねえ。 突然、足もとから聞こえる小さな音。後ろに飛びのきながら引き金を引く。 銃弾はネコに直撃、そして、全ての音が消えた。 俺の呼吸音と心音だけが聞こえる。そして、伸ばした手がぎりぎり見える。 血の臭いで鼻はもうイカレてやがる。第六感?あんなもん経験則の一種だ。 俺は何も知ることを許されないってか?嗚呼、まだ死にたくねえ。 まだ死んでたまるか、俺は死ぬわけにはいかねえんだ、畜生が! 気付いた時にゃあ、脚が全力で回転していた。 暗闇の路地裏から転がる様に抜け出し、安息の我が家に向かって走りだす。 ああ、もう御免だ。化け物なんて知ったことか。見えない化け物なんて知った事か。 帰ろう。早く帰って家中の鍵を掛けよう。化け物がいなくなるまで閉じこもろう。 タン、タン、タ、タ、タタ、タ Holy Shit! 俺の見解は上等の砂糖菓子並みに甘かった。奴は、化け物は、俺を逃がしてくれる気は無かったようだ。 俺が、殺しの現場を見たから?人間らしい考えで中々結構。俺を喰いたいから?獣としちゃあ妥当だな。 理由は何か?俺に聞くな、人間に聞くな。化け物の頭の中を、人間が覗けるわけねえだろうが。 背後から聞こえる、警戒な足音。当然ながら、靴は履いてねえな。 音の重さからすりゃあ、対してでかくは無いようにも思えるが・・・・・・と、冷静に考えて見た所で、だ。 ガタガタ震えて歯の音打ち鳴らし、冷や汗ダラダラで、んな事を理解して。さあ、何の役に立つ? 振り向き、音の方向に銃口を。キングコブラの口を向ける。 ―――見えねえ。 一発、二発、三発、四発。撃つ。撃ち続ける。当たったのか?外したのか?さあ、な。知ったことじゃねえ。 六発撃ったら弾込めだ。そうしてまた、一発、二発・・・・・・そんな事を続けていれば? ウエストポーチに入れた指が、ポーチの底の布地に触れる。 終わり。弾丸が、尽きた。 その後は、逃げるだけ。只管走った。追ってくる音から逃げるために。路地裏の死体の仲間入りをしない為に。 石畳を叩く足音は近づいてくる。粗い呼吸音が近づいてくる。俺の後ろに、俺のすぐ背後に。 視界の端に映る影。右腕で喉元を庇いながら、左手の方へと飛ぶように逃げ。 そして、見た。 そこにいたモノを、俺は見た。闇に慣れた目に街灯の光は少し強すぎたが、それでも。 死の音を、死の臭いを引き連れた、死の光景の元凶を。暗闇に映し出されたその姿を、見た。 脚。欠ける事無く四本。下手な馬のそれよりも、しぶとそうで頑強そうで。 牙。白刃と形容したら分かるだろ?そいつが、口の周囲と合わせて、血の赤に染まってやがる。 体毛。灰色の、ともすれば鋼の色にも見える、密度の高い体毛。 瞳。俺を睨みつける・・・見据える・・・・・・どれも、違う。ただ、見る、金色の瞳。 一頭の、巨大な狼。 体のあちらこちらから血を流しその体毛を赤く染め、俺に金色の瞳を向けた。 背から胸から腹から、ダラダラと血を流している。血の滴の零れる音が、聞こえた気がする。 脚が竦んだ。左手が、無いと分かってる弾丸を探した。 右手が、拳銃を狼に向ける。 その動作の過程で、つまりは一秒未満のほんの僅かな時間で、気づく。 狼は、脚を止めようとしなかった。 ―――逃げる?逃げるのか? ああ、逃げるんだよなあ。いや、帰るのか?もう腹いっぱいなんだろう? じゃあさっさと帰れ帰りやがれ帰ってくれよ。 先に家に帰り始めたのは俺の方。 叫んでたかも知れねえし、ただ走ってただけかも知れねえ。 そんな事知ったこっちゃあねえし、この先誰に聞いても分からねえよ。 見えてくるのは我が家の明かり。飯と風呂とベッドの有る我が家の明かり。 おお、偉大なるかな我らが主よ。安っぽいランプの明かりに安心出来るよう人間を作ってくださった事を感謝致します。 玄関口から家に飛び込み、台所。誰もいねえ。 じゃあ、寝室か?短い廊下を走って、ベッドの膨らみの無さを確認。 風呂場にゃあ明かりもついてねえ。便所も同様。 いねえ、どこだ?まさかまだ帰って無えんじゃ・・・ 可能性は、有る。学校が遠い、レイラは勉強熱心、そしてバスはしょっちゅう遅れる。 それにこの化け物騒動、可能性は有る、が。 バス停から此処まで、歩き以外の交通手段はねえんだ。 ―――レイラ! 居ねえ事は分かってても、その名前は呼んじまう。 萎えかけた脚に力が戻る。俺は、父親だ。レイラの父親だ。 僅かばかりの廊下を駆け抜け、玄関のドアを靴の裏で蹴り飛ばし。 ―――レイ・・・ 「お父さん、大変。この子襲われて怪我してるの!」 丁度帰ってきた、最愛の娘とご対面。 俺が名前を最後まで呼ぶより速く、レイラが血相変えて叫ぶ。 この子?どの子・・・・・・と、考えるだけの時間も無く、レイラの肩から伝う血に目が行く。 血の、流れ出している場所は?大怪我じゃねえだろうな?いや、この子? ぐるぐるぐるぐる、頭が揺れる。回ってくれるなら有りがたいが。 ドサリと音がして、その思考を現実に引き戻される。 床に横たえられたのは、レイラと然程体格に差の無い、一人のガキ。 シャツの腹だの胸だのに結構な量の血を滲ませ、白い顔をしてぐったりと。 腕を伝う血は、まだ床を濡らし。俺の靴とレイラのスカートを、赤く染めて行く。 ヤバい。もしかしたら?もしかしなくても、十分に不味い状況だ。 襲われた、レイラはそう言った。なら、考え付くのは現状一つだけ。 生きているのは、運が良い。どうにか出来ない事もねえ。 俺はそのガキを抱えて風呂場へと運び、レイラに救急箱を取ってこさせる。 嗚呼、運が良い。本当に運が良い。 最低の一日の最後に、幸運をちょっとくれえは残しておいてくれたらしいな。 レイラは、かすり傷もねえ。服が汚れたのと、荷物運んで腕が疲れただけだ。 なら、やらなきゃねえのは目の前のガキの処置だけになる。 襤褸切れ状態のシャツを剥ぎ取る。どうせもう着られねえだろうから、な。 傷口を確認する。鈍ら刃で切られたような、引き攣れた傷。ぶん殴られたような痣。 何処とは言わねえ、体全体に傷が有る。深さや大きさはバラバラ、一人にやられたもんじゃあねえ。それから、銃創もいくつか。 賊の類か。大した武器も持たねえ、山賊と盗人の中間程度の連中の。 この程度の年齢のガキでも、見境なく襲うのは・・・・・・よっぽど、餓えてるのか? 荷物の一つも持ってねえのも、そういう理由なら納得がいく。 血を清潔な布で拭きとり、傷口を薬品で消毒する。大きな傷は縫い合わせ、包帯を巻きつける。 銃創を見てみたが、銃弾は貫通しているらしい。嗚呼、今夜は本当に運が良いな。 呼吸は、落ち着いた筈。ガキも、レイラも、もちろん俺も。 出来る限り動かさねえようにして、俺のベッドに運ぶ。 今夜一晩床で眠るくれえ、どうって事ねえだろうしな。 幾らか頭が落ち着いた所で、ガキとその傷を改めて観察する。 ガキの面ってのは、男か女かはっきり決めづらい。どちらかで聞かれりゃ女と答えるくらいの顔だな。 肌は、巻かれた包帯といい勝負で真白、雪のようなとでも言えば良いのか?まあ、誇張が入ってるのは気にするな やたらと細い。飯を食って無いわけじゃあ無さそうだから、こりゃ骨格の問題か。 細い脚に合わせたジーンズは黒。ショートの髪は、まるで上質の絹のようだ そのどれにも、赤がべったり張り付いてたのが、まだ目に残ってやがる。 目を背けても目に付くのは、異常なまでの古傷の数。 割と大きめの刃物でざっくりとやられたような傷跡がいくつか。小さなものは数えるのが面倒だ。 刺し傷も有り、そのうち一つは背中側にまで突き抜けている。 俺は、喧嘩続きの生き方をしてる。ナイフでザクっとやられた経験もある。 だが、これだけでかい傷は一つもねえし、傷の総数だってこのガキには負けている。 刺し傷も有り、そのうち一つは背中側にまで突き抜けている。 レイラと然程年齢は変わらないように見えるが・・・何が有ったんだか。 考えられる事は、そう多くもねえよな。 ガキの悲痛な傷口を見て、何も持たないそのザマを見て。俺は、なぜか安心する。 娘を、レイラを抱き寄せ、人形の様な美しい金髪に手を通す。 お前は、無事だったな。誰にも襲われず、怪我一つなく。 赤ん坊のころから風呂に入れるたびに見てきた肌には、まだ傷の一つも入ってねえ。 おかしな連中が金をせびりに来れば、俺が叩きのめす。学校では友人が沢山だ。 俺の顔が赤い瞳に映ってる。安心して、泣いて、笑って。くしゃくしゃ、というよりゃぐしゃぐしゃか? 兎に角。無事だったんだ。俺の娘は、無事だったんだ。 そして、俺は娘をこうして抱いてられるんだ。 ―――どうだった、学校? 「今日は学校はお休みよ、お父さん。みんなで図書館に行ってきたのよ」 ―――ああ、そうだったな 何の変哲もない、平和な会話。毎晩毎晩、大した違いも無く繰り返される会話。 此処は、俺の家。俺と娘の二人の家。 ―――どんな事を勉強してきたんだ? 「聖書の勉強、かな・・・・・・神様を信じてる人は、死んでも天国へ行けるって」 ―――じゃあ、俺なんか結構危ねえじゃねえか 軽口叩いて、娘に頭ひっぱたかれて。 そして、顔を見合わせてもう一度笑う。 ―――今日は疲れたろう?俺も疲れた 「うん、やっぱり、ね・・・・・・ちょっと、じゃなくすっごく驚いたし」 人間一人抱えてくれば・・・・・・そういう次元の話じゃあねえ。 十二の子供が、同世代の血塗れのガキを拾って、それを運んできたんだ。 自分がそのガキを襲った誰かに襲われるかも知れない恐怖。誰もいない夜道の暗さ。 濃厚な鉄の臭いと生温かさ、背に肩にかかる重量。 ―――レイラ、このガキどうしたんだ? 「帰ってくる途中で倒れてたの。助けてって言ってたから・・・撃たれたんだって」 ―――撃たれた・・・・・・ 酷え話だ。そう思うだろ? こんなガキが、これだけ撃たれて死にかける。あれだけ斬られて死にかける。 それがこの世界。今さら確認するまでもねえが、な。 心臓や頭を撃たれなかったから、どうにかなった。だが、それが? 銃を向けられ、撃たれた。それが肝心だ。 そう、撃たれ――― ―――撃たれた? ガキの銃創を、見る。その形状を、目に焼き付ける。 レイラを抱く手を解き、ホルスターに帰還したキングコブラと再会する。 手の中で一度回して、もう一度ガキの銃創を。 この形は・・・・・・どこかで見たな。 そうだ、この形には見覚えが有るじゃねえか。 なんだ?.357マグナム弾って奴のだ。結構見慣れてるからよーく分かる。 ああ、こりゃあ間違ねえ。首にリボン添えて賭けても良いぜ。 で、だ。なんで俺がそこまで自信を持って断言できるのか? 俺の拳銃は、コルト・キングコブラ。装弾数6発、回転式拳銃。 使用弾薬は、.357マグナム弾。 ああ、見覚えが有るわけだ、この銃創。 俺が仕留めた獣に必ず残ってるじゃねえか。 俺が打ち殺した野郎の死体に必ず残ってるじゃねえか。 俺の銃弾だ、畜生が。 ―――レイラ、逃げろっ! 叫ぶと同時に銃をガキに向け、引き金を引く。 ガチン、撃鉄の音だけが響く。ああ、弾切れしたままだったな。 ガキが目を開け、体が跳ね上がり、俺の喉に何かが突き刺さる。 ナイフ?さあ、何だろうな。鋭い刃物だとは思うが。声が出ない、血が流れ、体が動かない。 灰色の髪のガキは、その髪と同じ色の目で俺を見ている。 ガキが手を引く、俺の喉から血が噴き出す・・・爪か、人の爪じゃねえ、長大な獣の爪。 レイラ何をしてる?俺の事は良いからとっとと逃げろ。 その包丁でどうするつもりだ?ほら、そのガキもお前は狙ってない。 レイラが包丁を突き出しガキがそれをかわしレイラが体勢を崩しガキが牙を剥き ああ神様お願いです俺は死んでも良いどうかレイラだけは俺の娘だけはたった一人の娘だけは 狭くなっていく視界にガキの姿が移る。化物が泣きそうな顔をしてやがる。 おい、何でだよ。泣きたいのは俺の方だ。俺達の方だ。 俺達は普通に暮したかっただけじゃないか。何でお前はここにいるんだ。 ああそうだ、俺達は生きたかった。だからお前を殺そうとした。何が悪い? お前が後から入って来たんだ、俺達の世界に。何でだ?何でそんな事をした化け物? お前も俺たちの世界に混ざりたかったってのか? 俺の目にもう一度映ったのは、ガキの体に刻まれた大量の傷痕。 白、黒、灰色、モノクロ世界に飛び込む赤。ゴトン、誰かの倒れる音。 近づいてくる、振り下ろされる爪、そして――― 俺の意識は完全に闇に溶け込んだ。 written 2010/5/3 6 00 2010/5/15 6 24 未だに文章推敲途中
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GM ぜろつー PL&PC しぐれなお:八月一日光葉 高生紳士:皇帝 中尾ヤスヒロ:黒翅ジャコウ 配信 2022/12/07 20 00- 【ダブルクロス the 3rd Edition】Monochrome Girl Re 【#なぐれ高生】 ハッシュタグ #なぐれ高生 イラスト 1031:@creepyday かいたひと:@ymmr248 ツイート 告知 配信告知 しぐれなお / 高生紳士 / 中尾ヤスヒロ / 1031 / HATO キャラクター紹介 (しぐれなお / 高生紳士 1 / 2) 当日ツイート ぜろつー / 中尾ヤスヒロ 感想 ぜろつー 1 / 2 / しぐれなお / 高生紳士 立ち絵・イラスト 皇帝 / 黒翅ジャコウ 1031:お疲れ様でしたのFA
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GM ぜろつー PL&PC 紺野和泉:國江倫 ヨシヅキ参謀:鴉羽千景 四宮伊織:浮舟縁 配信 2021/06/30 20 00- 【ダブルクロス the 3rd Edition】Monochrome Girl Re 【#初心者モノクロ】 ハッシュタグ #初心者モノクロ イラスト ミナザカ:@MZtrpgxX ツイート 告知 セッション告知 当日ツイート ヨシヅキ参謀 キャラクター紹介 ヨシヅキ参謀 / 四宮伊織 感想 ぜろつー / 紺野和泉 / ヨシヅキ参謀 / 四宮伊織 立ち絵・イラスト 全員
https://w.atwiki.jp/suzukaze/pages/20.html
ここを編集 ゲーム情報 4Gamer.net ジーパラドットコム
https://w.atwiki.jp/aimi-mcc/pages/689.html
通常ガチャの Monochrome Circus で入手出来るコスチューム一覧です。 ◆ガチャ一覧 に戻る ◆アイテム数 ノーマル レ ア 贈り物 合 計 16 16 4 36 ◆確率 ノーマル レア 通常 95% 5% 3倍 85% 15% 5倍 75% 25% 青色はレアアイテム、赤色はサラリの贈り物限定アイテムです。 赤文字はサラリの贈り物でも入手可能です。 ◆ガチャアイテム一覧 アイテム 画像 アイテム 画像 頭 演奏者の帽子 奏 頭 演奏者の帽子 演 頭 演奏者の帽子 弾 頭 演奏者の帽子 鳴 頭 ショーガールハット レッド 頭 ショーガールハット パープル 頭 ショーガールハット グリーン 頭 ショーガールハット ブラック 壁 モノクロサーカス 赤 壁 モノクロサーカス 青 壁 モノクロサーカス 紫 壁 モノクロサーカス 緑 他 奇術師のトランプブラック 他 奇術師のトランプブロンズ 他 奇術師のトランプワインレッド 他 奇術師のトランプウィスタリア 背 アウル 背 シュエット 背 チヴェッタ 背 グラウクス 服 沈黙の奇術師 ブラック 服 沈黙の奇術師 ブロンズ 服 沈黙の奇術師 ワインレッド 服 沈黙の奇術師 ウィスタリア 服 見習いのアコーディオン奏者 奏 服 見習いのアコーディオン奏者 演 服 見習いのアコーディオン奏者 弾 服 見習いのアコーディオン奏者 鳴 服 セクシーショーガール レッド 服 セクシーショーガール パープル 服 セクシーショーガール グリーン 服 セクシーショーガール ブラック 服 赤薔薇の団長 服 黒薔薇の団長 服 蒼薔薇の団長 服 紫薔薇の団長 アイテム 画像 アイテム 画像 ◆サラリの贈り物 (抜き出し) 《その他の景品》 赤薔薇の団長 黒薔薇の団長 蒼薔薇の団長 紫薔薇の団長 ▲ページTOPへ
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【登録タグ M ひなぎく バル子 亡き王女の為のセプテット 曲 桜咲ク未来へ -廻桜- 海月シェル 茜音色タウン 高台がく】 【注意】 現在、このページはJavaScriptの利用が一時制限されています。この表示状態ではトラック情報が正しく表示されません。 この問題は、以下のいずれかが原因となっています。 ページがAMP表示となっている ウィキ内検索からページを表示している これを解決するには、こちらをクリックし、ページを通常表示にしてください。 /** General styling **/ @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight 350; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/10/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/9/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/8/NotoSansCJKjp-DemiLight.ttf) format( truetype ); } @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight bold; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/13/NotoSansCJKjp-Medium.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/12/NotoSansCJKjp-Medium.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/11/NotoSansCJKjp-Medium.ttf) format( truetype ); 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- - - Mono・chrome 【初17c;ギリシア語 monochromes より. mono- (単―の)+-chrome(色)】 〈名〉単色[単彩]画(法),白黒描写;白黒写真. ━〈形〉:単彩の;白黒の;変わりばえしない(文) 〈派〉mono・chromic,-i・cal〈形〉 〈派〉mono・chromist〈名〉 モノクローム [ monochrome ] ①単色画。単彩画。 ②白黒の写真や映画。モノクロ。 ⇔カラー 人狼PL:【kairi】のRP村専用まとめサイト。 参加村感想から思いついた企画まで諸々、記録帳代わりに垂れ流し。 けど、正直あまり意味有る中身は皆無。 何のために存在するのかと小一時間。 ※中の人は腐女子傾向にあります。たまに二次作品とか描いたりするかもしれません。 同人・BL等をご存じ無い方、不快感を持たれる方は閲覧を控えた方が無難です。 最終更新日時:0000-00-00 00 00 00 人狼BBSまとめサイト kairi
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通常ガチャの Monochrome Circus で入手出来るコスチューム一覧です。 ◆ガチャ一覧 に戻る ◆アイテム数 ノーマル レ ア 贈り物 合 計 16 16 4 36 ◆確率 ノーマル レア 通常 95% 5% 3倍 85% 15% 5倍 75% 25% 青色はレアアイテム、赤色はサラリの贈り物限定アイテムです。赤文字はサラリの贈り物でも入手可能です。 ◆ガチャアイテム一覧 アイテム 画像 アイテム 画像 頭 演奏者の帽子 奏 頭 演奏者の帽子 演 頭 演奏者の帽子 弾 頭 演奏者の帽子 鳴 頭 ショーガールハット レッド 頭 ショーガールハット パープル 頭 ショーガールハット グリーン 頭 ショーガールハット ブラック 壁 モノクロサーカス 赤 壁 モノクロサーカス 青 壁 モノクロサーカス 紫 壁 モノクロサーカス 緑 他 奇術師のトランプブラック 他 奇術師のトランプブロンズ 他 奇術師のトランプワインレッド 他 奇術師のトランプウィスタリア 背 アウル 背 シュエット 背 チヴェッタ 背 グラウクス 服 沈黙の奇術師 ブラック 服 沈黙の奇術師 ブロンズ 服 沈黙の奇術師 ワインレッド 服 沈黙の奇術師 ウィスタリア 服 見習いのアコーディオン奏者 奏 服 見習いのアコーディオン奏者 演 服 見習いのアコーディオン奏者 弾 服 見習いのアコーディオン奏者 鳴 服 セクシーショーガール レッド 服 セクシーショーガール パープル 服 セクシーショーガール グリーン 服 セクシーショーガール ブラック 服 赤薔薇の団長 服 黒薔薇の団長 服 蒼薔薇の団長 服 紫薔薇の団長 アイテム 画像 アイテム 画像 ◆サラリの贈り物 (抜き出し) 《その他の景品》 赤薔薇の団長 黒薔薇の団長 蒼薔薇の団長 紫薔薇の団長 ▲ページTOPへ
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【検索用 Amonochromegirltheworldsend 登録タグ 2008年 A VOCALOID えこ。 はいのことん ふゆこ 曲 曲英 鏡音リン】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:はいのことん 作曲:えこ。 編曲:えこ。 イラスト:ふゆこ(piapro) 唄:鏡音リン 曲紹介 ギターポップです。ギター重ねるのが好きなのでシューゲっぽくなっちゃいます。 曲名:『A monochrome girl. ( @the world's end )』(ア モノクローム ガール ザ ワールズ エンド) えこ。氏のVOCALOID処女作。 歌詞 (歌詞・ひらがな割符共にピアプロより転載) 白と黒の旋律に 溺れる十五の少女は 窓の外の虹を見て ため息混じりに嘆くの 太陽の赤 掴みたいよ 零れる涙 拭って 俯く花の絵をまた描く夜は 見慣れた傷を鮮やか 色づけて 鈍の色にトリツカレ 退屈モノクロ少女は 籠の中の鳥の真似 気狂いみたいと笑った センチメントの 真珠の柔肌 褪せることなく きらきら輝き 閃光と蜜 蝶を誘う 秘密の園を ひらひら舞い飛んだ アウラの歌声 星が降るよな おとぎの夢見て独り目覚める 雨の降る音 街を叩き 流れる雫 見つめて 俯く花の絵の あの鮮やかさで 世界の終わり あなたと描ければ + ひらがな割符 しろとくろの せんりつに おぼれる じゅうごのしょうじょは まどのそとの にじをみて ためいきまじりに なげくの たいようのあか つかみたいよ こぼれるなみだ ぬぐーぅって うつむく はなのえを また えがくよるは みなれたきずを あざやか いろづけて にびのいろにとりつかれ たいくつ ものくろしょうじょは かごのなかの とりのまね きぐるいみたいと わらった せんちめんとの しんじゅのやわはだ あせることなくきらきら かがやき せんこうとみつ ちょうをさそう ひみつのそのを ひらひらまいとんだ あうらのうたごえ ほしがふるよな おとぎのゆめみて ひとりめざめる あめのふるおと まちをたたき ながれるしずく みつめて うつむく はなのえの あの あざやかさで せかいのおわり あなたと えがければ コメント 切ない気持ちになる歌。大好きです。 -- 名無しさん (2009-08-08 21 28 31) ↑なんという、俺!同感。 -- 名無しさん (2009-08-20 18 48 28) メロディがもっそいツボ。 -- 名無しさん (2009-11-15 18 36 27) よいシューゲイザーです -- 名無しさん (2009-12-23 17 26 34) この曲を聴いて、ボーカロイドを真剣に聴くようになりました。この曲に出会えて、本当に幸せです。私にとって、数あるリンさんの曲では、この曲が不動の1位です。 -- 名無しさん (2011-10-13 00 16 00) 名前 コメント
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(投稿者:めぎつね) 「これで終わり、かな」 辺りに屯っていた害虫の駆除を大凡終わらせて、サーシェは一息ついた後似そう漏らした。 味方の撤退は完了している。殿を引き受けたのだ。実際それは、自分にそれなりに向いている役割だと思った。どうにも自分は、他のメードと足並みを合わせるのが下手らしい。銃器の扱いが上手くないというのもあるが、自分の戦い方が部隊行動というものに合わないことが最たる原因ではないかと今では思っている。 「結局、何匹仕留めたんだっけかな」 撃墜スコアは基本的に自己申告になる為、真面目に申告しているのは果たして何人いるのだろうか。同伴者や目撃者が居れば申告数がそのまま通る場合もあるが、大抵は半分程度に見積もられる。逆に一騎当千たる最精鋭のメードは、倍近い数字で計上される場合もある。まぁ数えるのが馬鹿らしい数を処理しているという理由もあるし、死骸すら残らない攻撃方法を用いているという場合もある。 今回は二十を数えた辺りで、阿呆らしくなってやめた。以前はそれぐらい、苦でもなんでもなかったのだが。やり方はどうあれ、それを増やせば確実に周囲からは認められた。ある程度の自由も利く。期待も得られる。自分の立ち位置を明確にできた。それは僅か数年程度の歴史しか持たず、過去も背景も無い自分達にとっては居場所を確保する上で最も大事なことの筈だった。 自分の撃墜数が、アルハのそれをとうに上回っていたと知った時だ。急に虚しくなった。あの感覚は、今でも忘れてはいない。忘れられそうもない。 「そんな筈、ないのにねぇ」 出てくるのは溜息と自嘲ばかりだ。頭を振り、黙想を振り払う。こんな場所で物思いに耽ってどうしようというのか。死骸と異臭と粉塵に塗れたこんな場所で考え事をするぐらいなら、基地の屋根にでも寝転がって黙考していたほうがまだマシな考えが浮かぶ。 「……帰ろ」 うんざりと囁いて、鉾槍の穂先にカバーをかけようとする。その時だった。 「ん?」 雲の向こうに、星を見た気がした。 実際、こんな間昼間に星など見える筈が無い。そんな事を言えば笑われるだろう。考えを改め、サーシェは半眼になって目を凝らした。逆光の所為でその姿形は全く判別できないが、星などではないというのは確かだった。眼球を刺す強い光の中、それは初めは黒い点として見える。しかしそれが時間と共に大きくなるにつれ、何かが落下しているのだと理解した。 「軍の戦闘機?」 そう結論付けたのは、落下物が炎上していたからだった。どの辺りに落ちるかはある程度見当がつけられそうだが、どう頑張っても落着には追いつけそうにない。この辺りは平地だが、南に進むと崖になっている箇所がある。炎熱の塊が落ちていくのは、まさにその方角だ。 崖の手前に落ちれば、落着地点には辿り着けるだろう。逆に崖を越えてしまっては難しい。 「……行くべき、だよね。こういうのは」 誰かさんなら迷いもしないだろう。誰かさんは多少頭を捻らせてから行くだろう。 「行くよ。行くさ」 誰に促されたわけでもない。 だが何かに催促を受けたような気になって、サーシェは火球の落ちる方角へ足を向けた。歩いていては時間がかかりすぎるが、間に合わないのだから全力で走る必要もない。結局小走りで落ちたと思しき場所に向かい、辿り着いたのは十数分ほど経った頃だった。そして見つけたものは、実にどうでもいい代物だったが。 「フライ級……かな。けどこんな所で?」 そう呟いたものの、目にした物体は原型を何一つ留めていなかった。サーシェがそれをフライ級と判断したのは、炭に変じた物体の周囲に金属片が散乱していないことと、燃料を積んでいた人工物にしては落下でできたクレーターが小さいこと、最後に異臭でだった。最後が決め手だ。肉の焦げたものともまた違う、胃の奥が萎縮する吐き気を催すような臭い。 しかしこれがフライ級だとして、疑問が幾つか湧いてくる。フライ級自体は一応、グレートウォール戦線のあちこちに出没する。だがこの区域の近辺に出たという話はまだ聞いたことがない。この近辺は戦闘機や輸送機の往来が多く、それらの天敵であるフライ級が出るなら大問題になる。空戦メードの投入数も少ない。それは他所から引っ張ってくればどうにでもなるのだろうが…… 思索はそこで止まった。が、同時にその必要も失せた。爆発音を従えて、メードが一人崖の向こうから――幾らメードとはいえ、一足飛びで越えられるような高さではないのだが――飛び出してくる。それに追従するように、フライ級が十数匹。 状況の急変に戸惑いつつも、身体は自分が思う以上に動いていた。フライ級の一匹が闖入者へと体当たりをかけ、メードのほうがそれを無造作に避ける。そのタイミングで一瞬、そのメードと目が合った気がした。錯覚だろう。その頃にはこちらはもう、突進してくるフライ級の姿しか見ていなかった。この蟲にどの程度意思があるのかは分からないが、突進を避けられた先に伏兵がいるなどとは夢にも思っていなかったろう。泡を食ったような動きで翅を羽ばたかせ、一気に上昇しようとする。だが直進の勢いを殺すより、こちらの射程に入るほうが早い。結局フライ級が上昇したのは、穂先に触れた後だ。頭半分寸断された状態で、跳ね上がるように空の彼方に消えていく。 それを見送った頃には、フライ級を引き連れてきたメードがすぐ隣まで近づいてきていた。蟲のほうはほぼ全て上空に舞い上がり、ある程度のところで全てが静止した。様子見だろう。 「こんな所に一人?」 「……まぁ、ね」 聞かれた内容に口数少なめに答えつつ、サーシェは現れた女を横目で観察した。背丈は自分よりやや高め、銀髪と赤い瞳、赤を基調とした薄手の衣装には黒のラインが何本か施されているだけで、それ以外に目立った装飾はなく国籍も判別つかない。顔立ちは大人びているが、アルハと違って丸い瞳に幾らかの愛嬌があって親しみやすそうではある。 「そっちこそ一人? 数は多そうだけど」 「後始末を引き受けたのだけれど、相手がこれだからね。撤退する部隊から引き離す過程で、随分と距離を取ってしまった。装備がメンテ中という時に、下手に仕事は請けるものじゃないわね」 「手が要る?」 「貸してくれるなら、遠慮なく」 お互い意思確認だけ済ませて、ほぼ同時に左右に跳んだ。フライ級の突貫を躱しながら、直前まで立っていた場所に置いてきた槍の穂先を傾ける。自分から刃に突撃してきた阿呆の身体半分を裂いて、サーシェはそのまま次を捜して切っ先を彷徨わせた。短機関銃は一応携帯しているが、それを片手にぶら下げながら槍で戦闘するのは難しい。それでなくとも、銃撃は比較的苦手なほうだ。ならば槍一本に絞ったほうがいい。 (フライ級か) 戦った経験は一度も無いが、やれないことはなさそうだ。少なくとも、羽音を聞いてから動けば大抵の攻撃は避けられる。 そして予測した相手の軌道に得物の刃先を置いてくるのは、サーシェが最も得意としているものだ。 羽音に合わせ地を蹴る動きと共に、目標の通り道に槍の穂先だけを残す。鉾槍は切れ味の悪い武器だが、永核の恩恵がそれを打ち消している為その鋭利さは恐ろしいまでのものに変貌している。音速で動く相手に触れさせても、多少の反動を感じる程度で済むぐらいにはだ。体勢を立て直した頃には、半身を切り裂かれて絶命したフライ級の残骸が地面に激突して砕けながら跳ね回っている。それを見送って、サーシェは別の獲物を探し目を凝らした。地表近くには一匹も見当たらない。視線を上に上げると、ほぼすべてのフライ級が一点に集まっている。 上空数十メートルほどに滞空するフライ級の数は十数匹。こちらから攻める有効な手段は無い。故に必然的に、相手に攻められるのを待つ形になる。飛び掛ってきた相手を処理するのは難しくないが、それを続けて警戒されれば立ち行かなくなる。乱戦であれば気にするものでもないが、こう距離を置いて退治しているとなると、厳しい。そう考えていたが。 上空に滞空していた十数匹、その内の一匹が唐突に爆ぜた。その余波を受けて、フライ級の群れ混乱したように四散する。 いや、唐突というのは少し違うかもしれない。一瞬だが、視界の端に光の塊が映ったような気がした。だが断じて銃弾などではない。加えて、それをやったであろう赤服のメードを見やっても彼女は銃撃どころか銃を持ってすらいない。 「なに、今の!」 「只の、ちょっとした手品。大したものじゃないわ」 言いながら、彼女は軽く手首を振った。その動作が起点になっているのか、僅かに指先だけを曲げた掌の中にぽっと光が灯る。 「飛ぶ鳥は私が落とす。代わりに、降りてきた連中は貴方に任せたい。お願いできる?」 「……ま、いいでしょ」 「ありがと」 女はこちらに届くか届かないか、そんな小声でそう告げると、今度は大きく腕を振った。投擲された(という表現が適切なのかどうかは知らないが)緑色の光弾は二つ。一つは加速をつけながら弓なりの軌道で、フライ級の脇腹だと思われる部分に直撃した。弾の色そのままの強烈な光を伴った爆発がフライ級を包み、それが晴れた頃には炎上したフライ級が明後日の方角へ落下してきている。 二発目は狙ったフライ級を逸れたが、大きく円を描き再度同じフライ級に向かう。蟲もそれに気付いたかかなりの勢いで上昇し引き剥がしにかかったが、逃げ切れずに撃墜された。 ほぼそれと同じタイミングか、残っていた十匹前後が、一斉に散った。半分が急降下して地表からこちらへ突撃してくるのに対し、残り半分は上空で散開し行方を晦ませた。見失った、としたほうがいいか。既にサーシェにそちらを見ている余裕がなかった為に、上空の居残り組がどう動いたか判らなかったのだ。 降下したのは一見した限りで五、六匹。歪な翅を羽ばたかせた醜悪な形相の怪物が、一斉に飛び掛ってきている。こちらに向かってきたのは四匹、残りが赤服の側へ。降下した奴等は受け持つと公言はしたが、自分の側へ寄らない連中までは対処できない。こういった状況であれば自分を前列、彼女を後列として陣を組むのが効率的なのだろうが、生憎とそれをやっている時間はありそうにない。それ以前の話として、お互いの実力と手の内が分からない様では陣など組めるわけもないが。 「二匹行った」 こちらの言葉に、相手は指を二本立て手首を振って答えとした。了解という意味だろうか。そう受け取るよりあるまい。 (なら、こっちはこっちのことに集中するか) 幸い、突進してくるフライ級のそれぞれと接触するには幾らかの間隙がある。同時に襲われさえしなければ、対応はどうとでもなる。まず軽い跳躍で一匹目の突貫の射線から抜け出すと、その軸線状に槍の穂先を乗せる。蟲が刃先に体当たりしてその向こうへ抜けるのを手応えだけで判断し、サーシェは槍の位置を僅かに調整した。これは二匹目の射線だ。最初の跳躍でその軸からも抜け出している。 或いはフライ級のほうが戦い易いか。二度目の跳躍で修正の入った三、四匹目の攻撃ルートからも離れ、そんなことを頭の端に思い浮かべながら刃先の位置を想定の場所へと滑らせる。敵の速度は圧倒的だが、その扱いは馬鹿正直だ。目で完全に追うのは辛いが、読むのは難しくない。 (一匹逃がした) 手応えの浅さから、そう判断する。まぁ大して問題ない。別に防衛線を展開しているわけではないのだ。 サーシェはすぐに振り返ると、討ち漏らしを捜して視線を泳がせた。斬った連中の死骸は見当たらないが体液の疾った跡はある。崖下にでも落ちたか。 一見して血痕は三つ。やはり一つ足りない。 「さて、さて。何処に行ったやら――」 「左!」 鋭い一言を受けて、足より先に手が動いた。槍の柄を長く持ち、自分の眼に映る範囲、その外側を薙ぎ払う。返ってきたのは十分過ぎる手応えだった。反動を伴うほどに。斬った感触は無い。柄に当たったのだろう。十分だ。槍を持ち直しながら踵を返し、反転し地面に転がっていた蟲の頭を落とす。 「逃がした奴が、これ、ってことでもないか」 幾らフライ級が機敏であろうと、こちらが振り返る僅かの間に回りこんで来たとは考え難い。そもそもが自分達の突進の勢いも殺せない連中だ。おそらく逃げた一匹はそのまま上空へと退避し、空中に残っていたものの一匹が仕掛けてきたのだろう。見上げれば散開していたフライ級は再度終結しているようだったが、混ざってしまえばどれが討ち漏らした一匹だったのかという見分けはもうつかない。 そうこうしている間に次が来る。いや、これが最後か。上空に残っていたフライ級全てが向かってくる。今度は全部で五匹。ちらと視線を赤服の方へ傾けると、彼女の左右には灰になったフライ級が二匹。先程行ったものは両方蹴散らしたようだ。残ったフライ級の数から鑑みて、それ以外にも数匹墜としたと見ていい。 負けてはいられない。が。 「……舌噛んだ、な」 不意打ちの一匹に仕掛けた際にやってしまった。喋れないほど酷く噛んではいないが、それでも痛いものは痛い。しかしこういった痛みは当然ながら集中には邪魔なのだが、さっさと終わらせてしまおうという意気込みは増したりする。そして幸か不幸か、これで終いだ。 こちらに挑んできたのは三つ。先程と同じように斬り飛ばす――という表現が適切なのかどうかは微妙なところだが。こちらは基本的に敵の進行方向に槍の穂先を置いているだけだ。受動的な面は正直気に喰わないものの、このスタイルが一番自分に合っていたのだから仕方ない。 突撃のコースが見えてしまえば、そう動くのは難しくないのだ。所詮は予測だが、大凡当たるのだから十分信頼に足る。一つ、二つと接触間際に体と刃の位置を入れ替えて処理していく。複数で同時にかかってこられた場合、この手は大抵の状況で使えない。が、実際に完全に同じタイミングで襲い掛かられるなどというのは稀だ。サーシェ自身、そんなものは幾度にも渡る戦闘の中でごく数回しか経験していない。 次撃までには必ず数瞬の間がある。メードにはそれでも十分だ。三匹目との接敵は二匹目とほぼ同時だった。が、全くの同時で無いのだから、やりようは幾らでもある。刃先を進行方向に仕掛けるのはもう間に合わないが、代わりに柄が動かせる。身を捩りながら鉾槍を逆手に持ち替えると、三匹目の横腹を柄で突いた。貫通すればそれはそれでしめたものだったが、予想以上に甲殻が硬く軌道を逸らしただけに終わった。それでも元の速度が尋常では無いのが災いして、地面に身体を打ちつけた後は地表を抉りながら数回バウンドして数十メートルを転がり、動きを止めた。いや、まだ動く。 止めを刺すには距離がある。腰の短機関銃に手を伸ばそうとして―― 不意に、槍を逆手に持っている現状に気付いた。そのまま振り被って、投げられないこともない。 (……当たるか?) 構造上、剣よりは槍のほうが投擲には向いている……筈だ。実際には、最初から投槍として作られたもの以外の槍は投げる事には不向きな構造だ。重量バランスの偏っている鉾槍はその最たるものといえる。が、流石に剣よりはマシだろう。 実際に試してみるか。暫く、迷った。っしてその間に、緑色の爆発がフライ級を吹き飛ばしていた。 何故か状況が理解出来ず、少しの間、目をぱちくりとさせて炎上するフライ級を眺めていたが、時間と共に把握していく。理解すれば、今度は何故その状況を頭が理解できなかったのかという疑問が湧いてきたが、それは隅に置いてサーシェは赤服のほうを見やった。彼女は軽く手を振ったようだったが、平手でではなく中指と人差し指だけを立て伸ばしていた。案外、その手の形を作るのが彼女の癖なのかもしれない。 「余計なお世話だった?」 「……いや、そんなことない」 小さく首を振り、サーシェは逆手に掴んでいた槍を持ち直して、肩に担いだ。一体何を考えていたのか。馬鹿馬鹿しい。変な迷いを抱いた所為でスコアを一つ逃した。 「それにしては、随分な顔してるわよ?」 「へ?」 言われた意味が分からず、サーシェは左手で自分の顔に触れた。無論それで自分がどんな表情をしていたかなど分かる訳がないのだが、何か可笑しいものでも見えたのか赤服が吹き出した。口元を隠しながら笑う彼女に尚更意味が判らず、半眼になって相手を睨みつける。 「なんだよ」 「いや、ごめんなさいね。悪気は無いのよ。ただ、もう抑えが利かなくて」 そうは言いながらも、顔を伏せて肩を震わせるのを止める気配はない。緊張の糸でも切れたように。一度決壊すればもう抑えられないという意味か。怒るというよりは呆れて、サーシェは見せ付けるように嘆息した。暫く経って漸く落ち着いたのか、彼女は腹を抱えるのはやめたが、目尻には涙が溜まっている。本当に、何がそんなに可笑しかったのか。 「よくわからないけど、満足した?」 「だから御免ってば。こればかりは、謝るしかできない」 手の甲で目元を拭いながら、頭は下げないが(まぁ下げられても困るが)申し訳なさを潜ませた声音で彼女は告げてきた。少しだけ驚いたのは、涙を拭った後にはもうその直前の面影が微塵も残っていなかったことだ。微笑はしていたがその色は随分と大人びていて、別人のような印象を受ける。 「じゃ、この辺で行くわ。縁があったら恩は返す」 「ん」 文句はもう少し言いたかったが、舌が痛むのでそれはやめた。返答は頷くだけで留め、踵を返そうとし―― 一つ気になって、サーシェは反転しかけた身体を戻した。既に相手はこちらに背を向けて、絶壁のほうへ歩いている。そちらから来たのだから、それは当然か。その背中を呼び止めるつもりで、声をかける。 「気になったんだけどさ。あたし、どんな顔してたの?」 「自分自身に聞いてみたら? それじゃあね」 振り向きはしないままそれだけを返して、彼女は後ろ手を振り行ってしまった。追いかけるという選択肢もあったが、自分も自分で戻るべき場所は別にある。負傷もしていないのに、勝手に他所の厄介になるわけにもいかない。 「自分に聞け、ねぇ」 言われずとも、要点は見えている。ちらついた影が誰だったか。それは既に解っていたからだ。 だが、それを自分でどう感じたのか。何かを思った筈だったが、もう憶えていなかった。